開咬症例の治療の進め方
愛知学院歯学部教授 後藤滋巳先生 平成
13年7月22日
はじめに
矯正研究会にアドバイス
● 開咬症例の治療の進め方
開咬症例
悪習癖は訓練で一次的に改善するが、恒久的という問題になると悪影響を及ぼさない程度の環境にもっていくために時間がかかるし固定化するのが難しいし、指しゃぶりをやめさせても解決しない問題もある。ClassVのケースでも同様なことが起こります。その延長上で開咬を考える場合もある。開咬は上下的垂直的問題だから難しいと思われますが、個々の歯の位置異常でも難しいものもたくさんある。
症例
1.
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6歳前後の子供のケースです。下顎前突を伴う開咬が疑われます。下顎の顎の形態や下唇の状態から理解できます。ロングフェイスで口唇閉鎖の機能不全も見られる。これらの口腔周囲組織の筋肉がうまく働いてスムーズに口唇が閉じられるような咬合の獲得が目標になります。萌出途上に一見みえますが、臨床歯冠は十分萌出している状態です。
舌習癖も見られます。扁桃腺肥大も疑われるわけです。
上顎の歯列が狭く、舌に問題がある。
このような症例では、とりあえず上顎を拡大してみます。その結果バイトが深くなってきました。
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舌に対してビムラーとバイオネーターを改変した装置を考えて、上顎の側方を拡大できるようにコフィンの拡大装置も組み込んであります。可撤装置(別名:ゴトラー)で夜間を中心に使用させできるだけ昼間の使用するように指導した。
この子の成長発育の特徴に合わせた装置がよいと考えたわけです。外的因子やガイドによって影響される部分を排除して成長を促すことが大切であると思う。
スケルタルの要因を持っている場合、どんなにうまく治っても歯軸の方向やANBなどをみるとスケルタルの要因は残っています。前歯の歯軸と臼歯の歯軸がうまくバランスをとっていると思われます。それが安定につながっているのではないでしょうか。
チンキャップなど整形力が方向性は変えられる事ができますが、大きさを抑制させることはできません。
近遠心幅径のバランスの問題が左右しますから上顎に対して下顎の方が大きい場合はバイトが浅くなる傾向があります。正中線の問題も必ずしも一致させなくてもよい場合もあります。左右対称の大きさであれば一致しますが、左右歯冠幅径が一致しなければ正中のずれも生じてきます。TMGからみると正中の一致を重視する場合がありますが、すべてが一致するとはいえないと思います。
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中学に入学する頃の成長発育を見ていかないと思わぬトラブルが起こります。思春期の成長発育に入る前の段階で終了せずにスケルタルに問題のあるケースは成長発育が完了するまで観察していく必要があります。下顎の発育によって後戻りといわれる場合がありますが、トリートメントゴールを成長発育完了まで含めて考えていかなくてはなりません。
安定の要因は確立した咬合と正常な筋機能である。
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症例
2バイトの浅いケースで舌突出癖があります。唇側への傾斜をみると舌が大きく影響していることが分かります。上顎骨も大きく下顎骨もやや大きくANBは5度くらいでが上下顎の唇側傾斜は大きいです。Goアングルは幸い小さいケースです。Mnも大きくない。
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骨格的に問題が少ないように思えます。舌の影響が強くバイトを浅くしている要因と考えられる。したがってこのケースは舌の習癖をクリアに解決しないと安定につながらない。
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タングガードの選択になります。名古屋の伏見で開業している伊藤先生のタングガードは下顎の口腔低に届くほど長いもので舌をコントロールして効果をあげています。低位舌とか舌の前方への抑制にはかなり効果があります。あまり短いのはかえって舌が避けてしまうため低位舌になってしまう恐れもあります。
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基本原則は器械的な矯正治療をする前に機能的な問題を解決しておくのが一番よいと思います。途中でバイトが浅くなる時期が来ます。舌の影響が考えられますが、予後でも悪習癖が問題になりますが、その前に治療のステップの最中にも舌癖で歯をジグリングさせてしまう恐れがあります。器械的矯正力と機能的な矯正力がぶつかりあって歯根の吸収にもつながってきてしまいます。いつまでもバイトが深くならず時間がかかってしまう。舌癖は早めの解除しておく必要があります。解除できなければ、器械的移動をしている最中でもトレーニングする必要があります。デ―プバイトは浅めに仕上げ、オープンバイトで浅い場合はできるだけ深く仕上げるようにします。
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症例
3ロングフェイスで細面の顔面でオープンバイトのケースです。舌だけの問題ではなく唇の問題も含んでいます。悪習癖がある場合、嚥下癖もあり舌の突出もあります。口唇の閉鎖の弱さもあります。このような子供のうがいをさせるとブクブクができません。唇を閉じてブクブクうがいをさせ左右にみずが流れるように訓練をさせます。
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この装置はMFTの筋機能療法をとりいれたケースです。臼歯をパラタルバーで圧下させて舌のトレーニングをさせるために正しい舌の位置を覚えるためのスポットを認識させます。舌習癖を本人の自覚させてから正しい舌のスポットを覚えてもらうためにできるだけ舌を挙上させるようにします。嚥下の際にも舌を挙上させて口蓋を陰圧にするように訓練をさせます。MFTの方法にもいろいろありますが、具体的な補助器具としてのプレートを考えました。タングトレーニングプレイトといってスポット部分に穴をあけてプレートには始め落ちてきてしまうようでしたら単腕をゆるくつけてプレートを口腔内に装着します。正しい位置に舌がいかないとプレートが落ちてしまいます。フレームに舌があたり落ちてしまう構造になっていて、落ちないようにすることで意識して訓練できる装置です。
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最終的に上下のブラケットを装着して上下の歯列のコントロールをしていきます。犬歯の状態をチェックしてなるべくバイトを深く仕上げます。
開咬にはアデノイドや鼻閉は大きく影響します。のどが痛いときは舌が低位になる経験がありますが、口呼吸による低位舌が開咬に大きく影響していると思います。耳鼻科の先生の考え方もあってなるべく切除したくないこともあって重要な防御機構と開咬による不正咬合とどちらを優先するか責任を持つ必要があります。安易な決定をすべきではないと思います。
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歯列弓拡大については、歯槽骨の形態によって頬舌的にも骨のなかでの歯軸の安定が基本ですので側方で舌側に倒れているようなケースでは歯軸をおこす意味での拡大はいいと思いますが、ベースからはみ出るかたちで拡大した場合は、後戻りすると思います。安定を考えた場合、アーチレングスはあまり変えないほうがよいと思いますが、その基本を理解して歯軸が倒れこんでいる場合歯軸を起こすという意味で近遠心的にも唇舌的にも有効ですが限界がありますから臨床的には歯肉のうえから観察できる歯槽骨の形態、歯根のふくらみの形態を観察していく必要があります。それによって拡大に必要な量が決まってくると思います。
症例
4.
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骨格性の開咬で手術が必要と思われるケースですが、本人の希望と前医の引継ぎの段階で手術をしないで治すということで苦労した症例です。ハイアングルケースで側切歯先欠です。骨格性の
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このケースはその前のものですので、下顎は大きく上顎は小さめで問題のあるケースですが、成長も終わっていますので極めて成人に近いケースです。上顎唇側傾斜、下顎傾斜があります。ゴニアルアングル、マンデブラプレーンも大きいケースです。クラスVとひたすら臼歯をアップライトしていくケースです。最近ではマルチプルループをつかって顎間ゴムで臼歯部のアップライト、前歯の挺出をさせるテクニックを使っていくと思います。患者さん自身がバーチカルの顎間ゴムをきちんと使用してくれれば、挺出してきてくれるはずですが、全く挺出してきませんでした。ここで16歳くらいの女性に抵抗がありましたが、長いタングガードを使用しました。2回のチェック2ヶ月でおりてきました。舌切除の手術をしたいほど舌の力が強く、タングガードのリンガルアーチの部分が歯肉に埋まってしましました。舌圧がバイトを左右するくらい強いことを実感しました。リンガルアーチの設計は歯頚部に添う形で曲げられたほうよいと思います。
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症例
5.
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成人のケースです。チンが後退しています。抜歯か手術も考えたケースです。下顎の唇側傾斜で
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しかし、職業上のこともあって仕事中はつけていませんでした。うまくいかないときはワイヤーサイズの問題やベンディングか迷います。結局はバーチカルゴムをきちんと使用してくれれば必ず閉じてくると思います。外す時は臼歯からはずして前歯をもう一度閉じるように顎間ゴムを使用しました。結局4年ほど治療期間を費やしまた。小臼歯の抜歯を迷ったりしたケースです。基本的な概念は、臼歯をアップライトと圧下させ前歯を挺出させ咬合平面を変えていきます。
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TWEED
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顎間ゴムを使うケースでは最初はあまりループを入れずに様子をみて協力的であったらLループを入れこめば良いと思います。ティップバックベンドも入れずにフラットにしておいてゴムを使用するだけで治るケースもあります。協力度みてアップライトベンドやティップバックベンドを入れていかれればよいと思います。ゴムを使用しなければさらにオープンバイトがひどくなってしまいます。MEAWテクニックのほかにもシンプルな装置でもブラケットトルクやワイヤーの材質によっても理論的には可能です。
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症例
6
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2級に近いケースです。オープンバイトで犬歯関係はI級です。抜歯して通常にしたがって行いましたが、ループを入れた方が早めにコントロールできるように思います。パラタルバーをアンカーとしています。3年ほど要しました。歯軸をきちんと立てることと智歯のコントロールをしていけば問題ないと思います。
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最近ではインプラントアンカーとして臼歯を圧下させるためのアンカーとして注目されています。愛知学院歯学部でも基礎研究を行っていますが、現在はチタン製のねじ式で終了したら2次的に撤去しなければなりませんが、吸収性のものができれば、その侵襲の問題は解決します。まだ部位の限定がありますし長さの問題、骨の厚みの問題、それらの問題を考えながら部位の選定をしていかなければなりません。
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開咬の治療で上顎7番の抜歯について行うこともありますが、咬合高径をすぐに変えてしまって良いかという問題もありますし、基本的には患者さんの持っている咬合高径は変えないほうがよいと思っています。成長発育の過程では成長発育を伴う変化として骨のデモデリングを期待して治療方針に考えることもある程度です。智歯のコントロールに時間もかかりますし予測がつくようなケースに考えられた方がよいと思います。
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